背中の脂肪腫摘出術/にしやま形成外科皮フ科クリニック(名古屋栄3丁目)
2021-08-16
愛知県名古屋市中区栄のベテラン形成外科専門医:西山 智広
脂肪腫(リポーマ、Lipoma)の摘出手術についての説明について
脂肪腫の原因について
脂肪腫は、良性の脂肪細胞のかたまり(腫瘍)で繊維質の房状の袋に包まれています。脂肪腫は体のどこにでも出来ますが、最も多いのは体幹、首、額、太腿、上腕等です。また、複数の脂肪腫が同時に出来る事もあります。脂肪腫が出来る原因については不明です。
脂肪腫の症状、特徴は
臨床症状は無く、ゆっくりと時間をかけて成長する特徴があります。残念ながら一度出来ると自然に消える事はまずありません。脂肪腫の大きさは3cm大から、大きいものでは10㎝以上になるものもあります。例えば、肩に10cmの大きさの腫瘍があるとやはり肩が重いと感じられるようです。触った感触は、やわらかくゴム状のような感じです。
脂肪腫の診断法は触診、問診、画像診断など
診察や問診でおおよその診断はつきますが、別の腫瘍の可能性や周囲組織との関連性、特に深部に入り込んでいないかなどCTあるいはMRIなどの画像診断を行い確認をすることで安全に摘出することができます。
脂肪腫の治療法は、形成外科的に取り除く以外はありません。
1:背中の脂肪腫は扁平で僅かに盛り上がっているので、多くなってから気が付くことが多いです。
2:事前にMRIで脂肪腫が皮下、筋膜上にあり皮膜で包まれていることを確認しています。脂肪腫の大きさをマーキングして、その直上にやや小さめに切開線を想定します。
3:局所麻酔をして、皮膚切開を行い脂肪腫の直上まできたら、少しずつ手刀つまり手の指の感覚で被膜と組織を慎重に剥離し、皮膚との癒着部位があれば、手術用ハサミで慎重に切開を行っていきます。手術用ハサミでのカッティングは最小限にして、余計な組織を切ったり傷つけたりしないという手刀による除去を優先します。
4:脂肪腫は20分程度で取り除くことができ、創部内を生理食塩水で良く洗浄して皮膚を形成外科的に2層に縫合していきます。最後に、排液のためのドレーンを挿入してハイドロコロイドゲルテープを貼って手術は終了です。
5:術後は、5日間の通院で創部に入っているドレーンを抜去したり、バイ菌による感染の有無、体液が溜まる漿液腫の有無などをチェックしていき、5日後に抜糸とスキントーンテープによる固定を行います。取り除いた脂肪腫は、病理検査に提出しており2週間ぐらいで結果が判明します。
手術痕は、個人差がありますが体質や部位によって、赤く盛り上がったキズアトになる可能性があります。特に、肩や上腕、前胸部、下腹部、首などは好発部位と言われ、そのような状態になりやすいため要注意です。術後は、ケロイドや肥厚性瘢痕を予防する内服薬やテーピングなど積極的に用いて約半年間フォローアップします。
脂肪腫摘出手術の料金について
手術費用(3割負担の場合)のおおよその目安
※公費負担医療証をお持ちの場合には全てお持ちください(負担割合0割、1割、2割などが適応となる場合もあります。)